おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

地元アンダークラスの生き方

 

僕の勤めるクリーニング工場は、衣替えの3,4,5月が繁忙期ということで、常勤のスタッフに加えて、臨時で短期スタッフを雇っている。通常、社員2-3人と作業スタッフ4-6人、配送スタッフ3-4人で回しているところへ、新しく作業3人、配送1人が加わった。10代男性、20代女性、30代女性、40代男性である。10代の学生を除く3人が同じ高校の出身だ。偏差値46-50の、地元の人間からすると、いわゆるフツーの奴がいく高校だ。僕にも同校出身の友人が2人いるが、普通に働いて普通に子育てしている。

「出身校が同じ」という奇妙な一致を偶然で片付けたくない。僕はここに、田舎でも都会でもない地域で、底辺でも進学校でもない高校を卒業した人たち独特の人生の軌跡に思いを馳せてみたい。3人とも最終学歴は高卒か専門卒だ。高卒後に就職、また専門学校を卒業したのち就職し、コロナの影響で退職・休職・自宅待機に追い込まれ、地元の短期バイトを探してやってきた、というパターンだ。それが20/30/40代で横断的に起きている。僕も同じ職場をタウンワークで見つけて応募したからこそ言えるのだが、ここに地元アンダークラスの生き方の典型例があるような気がする。就職/再就職の人脈・ツテなし、自営するスキル・ノウハウなし、コミュ力のいらない機械相手の単純な軽作業を好み、そしてなにより家から近い…という条件に当てはまる属性の人たちが集まってくる。地元密着型で、生活は保守的、性格は内向型で、派手な趣味も消費性向もなく、地味を地味とも思わず地味に生きる人たちである。

「どうしてこんな学歴で?」
上司がよく面接で不思議に思うことだという。自分はしかたなくここで働いているけど、いい高校・いい大学を出た人はもっと選択肢があるのに、なぜここを選ぶのか不思議でならないそうだ。「家から近くて楽そうな仕事だから」という以外にバイトを選ぶ理由があるだろうか。正規職員としての再就職が難しい→しかたなくバイトの収入でやっていく→実家住み→地元の職場を探すって流れで漂着した人ばかりだ。上司は昔、パチンコ屋でバイトしてたときに最寄りの国立大の学生がそのままパチ屋に就職して驚いたと言う。僕はその学生の気持ちも分かる気がする。仕事なんかなんだっていいし、家から近くて居心地のよい地元でのんびりやっていくのも悪くない。バイトの問題は、給料が安く、将来性がないこと。時間を空費して、年齢ばかり重ねて動けなくなってしまう前に、どうにかこの状況を脱出せねば…という焦燥感を抱きつつ、毎日タイムカードを打刻し続ける日々に、どこか人生の主問題を棚上げして目の前の作業という副問題に精力を傾けることでしばし思考停止の安寧を見出す性向が、地元に留まるアンダークラスにあるような気がしてならない。

僕は今年、30年住んできた地元を離れて、新居へ移り住み、知らない地域で暮らすことになる。地元の微温を離れる。実家の基盤を去る。ママのおっぱいとさよならする。いまは嫁1人だが子どもができるかもわからん。養わねばならん家族を抱えて新住所で新生活。これを機に自分を変えたい。