おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

図書館閉館中。


GW中といっても僕は休みなしの平常運転だが、緊急事態宣言で図書館がしまっているので、閉塞感がパない。駅前の書店も臨時休業。となり駅の紀伊國屋も同じく休業中で「くそ!借りてる本を読まなきゃいけねえじゃねえか!」と当たり前のことを思う。いま借りてる本は3冊。うろ覚え書評いくぞ!

 

 

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『驚嘆!セルフビルド建築 沢田マンションの冒険』

自分でマンションを建てちゃった人のトンデモ物件を現役建築家の著者が取材したエッセイ。何度かTVで取材されていて、昔みた映像で沢田マンションの存在は知っていたが、どういう人がどういう経緯で建てたのか知らなかった。

沢田嘉農さんは、小学生の頃にたまたま読んだ雑誌で賃貸アパート経営を知る。そこで将来は大家さんになる!と決めたそうだ。いや、早すぎるし、渋すぎるだろと。もともと家が材木屋だったので、山から木を調達して、戸建て住宅なんかをセルフビルドして売っていたそうだ。そんな個人の手作り住宅、怖くて誰も住まないだろ!と思うが、折しもバブル時代だったので、建てたそばから飛ぶように売れた。32歳のときに13歳の裕江さんと結婚。あれ、日本の婚姻年齢って法律でどう決められてたっけ…。セルフビルドだけあって、建築基準法的にアウトーな場面もあるらしいけど、そういうものを建てて、実際にそこに愛着をもって暮らしている人もいるっていうのがいい。規格とか規制にとらわれずに、でっかいものを建てるっていう生き方、カッコいいよ。

 

 

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『グリフィス版 孫氏 戦争の技術』

人生は戦争だ!とすると、戦争の技術こそが生きるヒントになるんじゃないか? 現代人の生活習慣病「わがはいの人生このままでええのか」症候群に効く薬だ。超訳○○シリーズもあるけど、元の本に挑みたいなと。日経BPラシックスは、題材もいいし読みやすい。

 

 

一般的に、戦争における最善の策とは、敵国を傷つけずに勝利することである。敵国を滅ぼして勝利するのは次善の策である。したがって、百戦して百勝することは最善の策ではない。戦わずに敵を降伏させることこそ、最善の策なのである。そうであれば、最善の戦争とは敵の戦略を事前に打破することである

→自分と戦うときにも、こてんぱんに打ち負かす方法ではなく、自分という人間に無理をさせず、正面から戦わずして目的を達成することが真の勝利じゃないか。たとえば面倒な部屋の片付けとか、自分に抵抗のない方法でやり方を見つけることが大事なのかなと。アフォーダンス?デザイン?じゃないけど、自分を課題解決の環境にうまく導入できたら一番楽だよね。

 

攻撃は必ずしも巧妙でなくてもよいが、神速で仕掛けなければならない

→巧遅より拙速を尊ぶべし。ビジネス書読みがいかにも口癖にしそうなことばだけど、「神速で仕掛ける」ってのがバトル漫画っぽくていい。完璧主義の僕は、スピードより完成度を重視する方だけど、実際は遅くてまずいっていう一番ダメなラーメン屋のパターンだ。スピード感大事にしたい。

 

敵軍の内情を知り、自軍の実情も知っていれば、百回戦ったとしても決して危険な事態には陥らない。敵軍の内情は知らなくても、自軍の実情を知っていれば、勝算は半々だ。敵軍の内情も自軍の実情も知らなければ、戦えば必ず危険な事態に陥る

→百戦危うからず、の原文。敵を知らずとも自分を知れば勝率は半々。人生とは戦争だ。戦いを少しでも有利に進めたいなら、自軍の実情を知ることさ。

 

 

 

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『トーキング・トゥ・ストレンジャーズ 「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと』

マルコム・グラッドウェルといえば、言わずとしれたベストセラー作家で、おもしろい本ばかり書いている。大型書店でも「原書に挑戦してみよう」みたいなコーナーで"The Tipping Point", "Blink", "Outliers"とか陳列されてて、たまに類書がブックオフの洋書コーナーにひっそり落ちてるので、買って読んだりした。でも内容は記憶にございません! 科学実験の結果を引用しつつ、直感に反した原理原則による世の中の現象解説って言ったらそれまでだけど、文章が平易で、おもしろくて、スリリングっていう、これぞポピュラーサイエンスって感じの読み味。読んだものを覚えてなくたっていいんだ。その時その事実に感心できたらいいので、心理学の本を読んで実際の対人関係に役立てようとするような無粋な真似はしないのが、ポピュラーサイエンスの正しい読み方なのさ。

で、この本で説かれているのは、人はいかに他人を信用してしまうか、って話。人は「デフォルトで信用する」。アメリカ国防情報局の高官が、敵国であるキューバ側のスパイだった話。誰からも慕われるアメフト部のコーチが少年への性的虐待の常習犯だった話。凄腕の証券ディーラーが史上最大のポンジスキームを行う詐欺師だった話。おもしろいのは、みんな「まさかあの人が…」と驚いて、犯罪者の肩を持つじゃないけど、そんなはずはない!と彼らの味方をする側に回る人も出てくる点。疑り深いごく一部の人間が、彼らの素性を見抜いて、早い段階から警告を出すんだけど、周りの評判にことごとく封殺される。僕は嘘を見抜く側がデキる人っぽくてあこがれるけど、著者が釘をさすのは、社会というものは、みんなが「デフォルトで信用」しあってるから成り立っているのであって、みんながみんな偏執狂的な疑り深さを持つと、正常な社会活動が阻まれる、という点だ。

本書で最初から謎掛けのように語られるエピソードが、あるアフリカ系アメリカ人の女性の話だ。大学職員として就職が決まった彼女は、通勤中にごく軽微な交通違反、ウインカーの出し忘れで白人警官に車をとめられて、言い争ううちに逮捕されてしまい、留置場で自殺してしまう。著者は全編を通して、どうしてこんなことが起きてしまうのか、謎解きを試みる。経験豊富な裁判官が実際に容疑者に会って質疑応答するより、容疑者のプロフィールを機械的に読み込ませたAIのほうが再犯率を見抜く確率が高い。イギリスにおける自殺者数は、石炭ガスから天然ガスへ移行によって一時激減した。毒性の低いガスになって、従来のようにガスレンジに頭を突っ込んで寝るだけでは、簡単に一酸化炭素中毒で死ぬことができなくなったからだ。人の人にたいする評価がいかにおぼつかないか、人の犯罪や自殺行為が何に左右されるのか。そういうところを深掘りして、最初のアメリカ人女性の死の謎に答えようとする。

他人を信用すること。なるほど振り込め詐欺みたいな、悪人を善人と勘違いしちゃうパターンにも気をつけないといけないのはもちろんだけど、僕たちが日常生活で本当に注意を払うべきなのは、善い人を悪い人と勘違いして行動してしまうパターンだ。『ホーム・アローン』でいう、シャベルを持った隣人の"殺人鬼"おじさんが、実は最後にケヴィンを泥棒から助けてくれるいい人でした、みたいなことは軽い程度で実にありふれていると思う。僕は道行く人を全員悪人と思う『アウトレイジ』の世界を生きているので、この本を読んでから、もう少し他人を信用し、また信用しないようにしようと思った。