おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

【家づくり】壁紙とか決めました

今週のお題「間取り」

 

祖母の土地に、親類の支援を全力で受けつつマイホームを建てる、という放蕩息子っぷりを発揮していながら、親から「住んでくれてありがとう」と感謝されるのにはわけがある。91歳の祖母の面倒を自宅でみるようになった母は、空き家になった祖母家の処分に手をこまねいていた。昔、近隣の工事を受け持った大工に「あんさん、ここの土地は絶対売ったらあきまへんで、値打ちもんやさかい」と言われたのを金科玉条のように信奉している。だから地元から離れて移り住むと言った息子夫婦に「ありがとう」と言うのである。こっちのほうこそありがとうだ。一族に酒、ギャンブル、女にハマって破滅しかける親父がひとりでもいたら、残っていなかったかもしれない土地に家屋だ。曽祖父の時代から累々と受け継がれてきた堅実、倹約、穏当な性格に感謝である。

 

ハウスメーカーとの打ち合わせを通して、間取りや設備を決めるが、いぜん祖母の家は建ったままなので、どこか絵空事のようなリアリティだった。解体工事が始まって数日で更地となり、実にあっけない。子どもの頃からそこにあるのが当たり前の家が、重機1台トラック1台で簡単に姿を消してしまう。建てては壊す限りない人間的営みの無為、スクラップ・アンド・ビルドのはかなさを思う。更地を見たあたりから、やっとここに家が建つのだという実感がわいてきた。

 

 

今回の打ち合わせでは壁紙を決めた。

壁紙を決めるにあたり、サンプルの冊子から好みを選ぶことを宿題として課された。

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おもしろい本だ。

風呂を決める際には、床・壁・建具の色をみるのに、陶器製のミニチュア浴槽セットが出てきて、側面に色のパネルをはめて、実際の空気感をみることができた。お人形さんのおうちセットのリアル版とでも言ったらいいのか、そういう変なものに数多く出会うのが家づくりだ。トイレの色を決める際にでてきたミニ便器は、「これでカレーを食ったら妙趣だな…」とニヤニヤしてしまうほど実によくできた小皿だった。この壁紙サンプルの本にしたって、貴重な読書体験である。

 

 


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これが今住んでいる賃貸のリビングの壁なのだが、

 


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同じものを発見して「これだ!」と興奮した。

「新しい家のリビングもこの壁紙にしよう」と妻に提案したら、ナチュラルになんでやねんと突っ込まれた。馴染みがあって落ち着くし、変じゃないと思うんだけど、一緒だとせっかく新しい家なのに意味がないそうだ。

白無地に小さい虫みたいな模様がうじゃうじゃしているやつだけは勘弁してほしい。幼少期、何もすることがなくなって壁ばかり見つめていた。ひとりっ子で遊ぶ兄妹もいない。母は僕を昼寝させようとするが途中で寝てしまい、僕は眠くない。布団に入ったまま動くに動けず、すぐ横の白い壁を見続ける。うじゃうじゃの模様を迷路にみたてて何度も目で追い、ない出口を探して退屈な時間を過ごした思い出がよみがえるのだ。

 

 

今のところ外観はこんな感じ。
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外壁の色は迷った。ブルー・紺色系が珍しくてカッコよくない?って話でこれに落ち着いた。僕は臆病だから「黒っぽいと暑いんじゃ…」と不安だが、室内はそんなに変わらないらしい。というか、この画像だと周りがスカスカだが、実際には左右ビタビタに隣家がせまっているので、外壁の色が露出する面積はごく小さいのである。

 

 

間取りは1階からこんな感じ。


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極細の土地で間取りに制限があるなか、収納スペース・ランドリースペース・LDKを確保したいという無理を言って提案してもらった。僕の要望は、3階主寝室にあるカウンターつきの書斎に実現している。長さ160cmの作業台を独り占めできるのはうれしい。妻は「化粧台に半分よこせ」と迫るが、頑として譲らずにいる。相手の強大な兵力を前に、今後この領土をどこまで守れるか根性が試される。1階の納戸に小机を設ける撤退の未来図が見えなくもない。

駐車スペースは初めから軽自動車を置く想定である。普通車にしても全長4m前後のコンパクトカーでないと厳しい。都市から離れた山間のニュータウンの造成地にでかい家を建てた友人は、ランドクルーザーと奥さんの普通車と作業用の軽トラを雑にとめてなおスペースが余ると言う。立ち飲み屋の汚いせめぎあいを演じる都市暮らしを強いられる身からすると、正直うらやましい。そもそもスペースはあっても、車を買う余裕がないのである。せっかく車必須でない都市部に住むのだから、どうしても使うときはレンタカー、カーシェアリングでいいと思うが、妻はもう車がある暮らしに思いを馳せている。マイボトルにマイバッグ、マイホームにマイカー。マイの所有欲には果てがない。

次は、コンセントの位置、スイッチと照明器具の連動を決める。そんなのそっちで決めてくれよ!と万年賃貸住みの僕は思うが、戸建て育ちの妻はすでにコンセントの口数まで細かく決めている。優柔不断で毎朝の靴下選びにも苦労する僕は、ビジネスホテルの部屋割みたいに、与えられたもので満足する覚悟だ。僕のような人間が家を建てるなんておかしい。名門校に裏口入学したようなズルの自覚と無資格の引け目があり、年下の若手営業マンに向かっても、施主としてああしろこうしろと言えないところがある。家を建てるまえに、自分という築30年の欠陥住宅をぶっ壊さなくちゃ。