おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

瞑想すれば今より10%幸せになれる

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著者は売れっ子キャスターである。テレビ業界の苛烈な競争のストレス、不安からうつ病になる。不安からコカイン、エクスタシーに溺れる。本番中にパニックの発作が起きてしまい、このままでは仕事も何もかも失ってしまうと思った著者は、精神科医を訪ねる。それでも「どうすれば心の平静が得られるか」という問いに確固たる答えが見つからず、自己啓発の世界へ。TVキャスターの立場を利用して、自己啓発業界、通称「幸せ産業」のスター、人気者、大家と対談していく。彼ら独自の宇宙語とトンデモ理論は、懐疑派の著者を打ち崩せなかった。もっともリアルに感じられたのは、仏教の考え方で、半信半疑のまま瞑想にトライすることに。

著者は10日間の瞑想合宿に参加する。他人との会話禁止、外部との連絡禁止、読書禁止、セックス禁止の環境下で1日10時間も瞑想する。そこで心を観察する視点を得、「今ここ」に集中するマインドフルネスを武器に、苛烈なTV業界へ戻って仕事をこなしていく。

 

本としては、自己啓発をバカにしていた元ドラッグ中毒者が瞑想をどう習得したか、という点より、TVキャスターならではの饒舌がおもしろかった。

 

(瞑想の効果について)ついに決めゼリフが見つかった。「今より10%幸せになる」。キャッチーな響きだし、しかも本当のことだ。これは完璧な答えだ。自己啓発でよくある大言壮語の安請け合いより信頼できるし、しかも投資した分のリターンはきちんと約束している。
そのとき私は、1990年代のB級コメディ映画、『クレイジー・ピープル』を思い出していた。ダドリー・ムーア演じるコピーライターが、本当のことしかコピーに書かないことに決める。そして「ボルボ――たしかにダサいが安全だ」とか「ジャガー――見知らぬ美女に手コキをしてもらいたい男が乗る車」といった傑作コピーを書いたところ、会社から精神病院に入院させられてしまう。241

このジャガーのところで、BBCトップ・ギア』の名物パーソナリティであるジェレミー・クラークソンが、ジャガーを「ジャッグゥワ」と発音する場面が重なって笑ってしまった。欧米では、ジャガーって変態紳士が乗る車と思われているんだろうか。どうでもいいが、ベンツやホンダのポロシャツは売れても、ポロシャツメーカーの車が売れないのは一体どういうわけだろう。

 


私は現在を避けることについては達人だった。物心ついたときからずっとそうだ。母親からは、いつもせっかちで落ち着きがない子だと言われていた。8年生のときには、付き合っていた女の子から、「未来に片足を置いて、過去にもう片方の足を置くと、現在におしっこをすることになるんだよ」と言われたものだ。97

アメリカの8年生といえば中2だ。中2女子がそんなシャレたこと言うかな〜?と疑っていたが(ググったら作家Malachy McCourtの引用のようだ)、それでも名言だ。どおりで今がしょんべん臭いわけだ!

 

僕も「今日はなんか疲れたなー」と思った日に、じっと目をつむって瞑想するけど、世間で喧伝されているほどの効果を実感したことはない。体感での幸福度上昇の割合は1%もない。まだまだ修行が足りないのかな?

著者が「あーこんなとこに来ちまった」と後悔しながら参加した瞑想合宿とか行ってみたい。寺での禅体験とかじゃなくて、1日10時間、外部と遮断されてハードに打ち込むほうがおもしろそう。宗教的なコンバージョンは、それくらい強烈な体験がないとダメだよね。

著者は瞑想合宿5日目にして恍惚に達する。「すべてがあまりにも明るく、あまりにもさわやかだ。最高の気分だ。ただの『最高』ではない。『史上最高』だ。…この感覚のすべてを味わい尽くしたい。ドラッグをやるときと同じだ。しかし、この感覚は人工物ではない。いつか終わるドラッグの効果とは違う。それに、ドラッグの1000倍は気持ちいい。人生で最高のハイだ」。ちょっとイキすぎでは?と思うけど、瞑想って10%HAPPIERじゃなくて100000%コカインの快感をもたらしてくれるんだ。瞑想ハイで未来と過去におしっこを撒き散らす。マインドフルネスってよく分からないけど、そういうロックな生き方なんですかね?!