おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

試験とはお尻との戦いである

 

また社労士試験の話題で申し訳ないが、まだ語り足りないことがあった。

事前にネットでうわさ話を検索すると、テスト会場(たいていどっかの大学)のイスが板切れ一枚で、長時間座るとお尻が痛いと言うのである。実は試験時間が午前80分、午後210分。午前の部は大学の講義時間より短く、じっとしていられるが、午後の3時間半は年末のドラえもんスペシャルより長く、お尻も、お集中力も持ちそうにない。集中力の限界が伸ばせないなら、せめてお尻だけでも救わんと、細君のゲルクッションをひったくって、かばんにギューギューに押し込んで持参した。関西大学は内装美麗の新築校舎、布張りのイスはクッションが効いていて、僕はゲルクッションの輸送をしたのみであった。

3時間半もあれば、喉は乾くし、大小は催す。試験中の飲水は許可されているものの、机上にペットボトルを出すことは許されず、黙って挙手して、試験監督の監視のもとにはじめて飲み口に口がつけられる軍隊仕様となっている。僕は学生時代に一度も手を挙げなかったことを誇りにしている男だから、喉が乾いても手を挙げなかった。実際、飲んでいる人は少ないのである。試験中に水を飲んだおばさんを横目にみると、「ああ生き返るわ」という顔をしていた。

トイレに立つ人は多い。受験者のアドバイスに「一度トイレにいって、背筋を伸ばしたり、軽く体を動かしたほうがいい」とある。3時間半も座ってりゃ、能率もクソもない。僕はおならがしたくなった。何度か腹の中でやり込めたが、攻防している場合でもない。現場は、携帯のバイブはもちろん腕時計のピー音さえ試験妨害とみなされて退場させられるほど、静寂にこだわる空間である。しかし僕だって、音を鳴らさずに放屁するコツくらい心得ている。ここは腕の見せ所だと思って位置を調整しつつ空気の塊を慎重に外へ押し出すと、どこからどう聞いても屁の音でしかありえない、PとBの中間音を連続的に出してしまった。静かな教室で響くこと、深閑の森、ヘリコプターが木々を薙いで飛ぶ騒ぎであった。「斜め前のおじさんのしわざです、まったく困ったもんですね」という共感を誘う背中の演技で、後背の受験者たちに弁明すること5分。試験が手につかない。これがテストとはお尻との戦いであることの本意か、と悟ったのである。