おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

ペコさん…?

 

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市内某所、ペコちゃんを置く家がある。

殺風景な旧家屋のつらなり。車も通さぬ隘路の一角で、昭和の風景から、パリッとしたお仕着せ姿でこちらの時空をうかがう。初めは、子どもだと思って寿命が縮まった。

 

日付が変われば、衣装も変わる。

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夜はひときわ怖い。
幾人もの新聞配達人が腰を抜かしただろう。

 

毎日玄関先に立つわけじゃない。小学生だから登校日にあわせて外出するのかと思ったら、土日祝、時間を問わずランダムに現れ、そして消える。

どうせちょっとおかしな老人のいたずらに決まっている。衣装の手縫いが近日唯一の娯楽。通りに立たせるのは、かわいいわが子を見てちょうだい、という発表会さ。たまにペコちゃんが、ペコちゃんの紙袋を提げていることがある。仮面ライダー仮面ライダーTシャツを着るようなリアリティラインの侵犯、メタレイヤーのオーバーラップがある。家人にとってペコちゃんは人間なのか、ペコちゃん人形なのか。同居する子どもなのか、着せ替え人形なのか、存在性のいかんによって狂気の質が異なってくる。

通るたびに衣装の更新、いや彼女の着替えを期待して覗いてしまう。暑くなってきたし、夏服のほうがいいんじゃない? と訳の分からない心配をするようになった。店頭にいるやつはみんな偽物だよな、お前が本物のペコちゃんなんだよな。おれも年老いたら、佐藤製薬のオレンジ色のゾウを置いたるからよ。