おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

彼女が在宅勤務でひとりの時間がねえ

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ひとりになりたい。

 

大阪の繁華街で事務補助をする彼女が、先週半ばから自宅待機になり、今週からテレワークの準備を進める流れになっている。が、依然として月曜からも自宅待機で、これからの勤務がどうなるかも未定である。

たいして僕は、繁華街からは程遠い郊外の、まだ宅地開発されない田んぼが液晶のドット欠けのようにちらほら街区に穴を空けている小田舎のクリーニング工場で、せっせと背広にカッター、ニットにコートを洗っている。僕らもテレワークにならないものか、と冗談は言い合うが、危機感は少ない。恐怖の伝播は都市より遅い。

今の仕事で唯一気に入っているのは休日だ。休日が気に入っているとは、もはや仕事の話ではないが、完全週休2日制で(いま勉強している社労士のテキストによると、労働者には週1回休日を与えれば足ると書かれている(もちろん労働時間の規制はある)ことを考えると、週に2日も休むことが許されているのは社長の温情とすら思える)、水・日が休みである。彼女は土日祝に休む。日曜日は一緒に過ごして、ほかの休みはそれぞれが自由に使う、という体制が丁度よかった。帰りは彼女のほうが遅いので、定時であがると、1時間は自分の時間が持てた。それが今では、いつ帰っても家に人がいる。帰りにカフェで1人になろうにも、自粛の空気感はもとより、感染防止のために直帰を心がけたい。どこにも1人の時間がない。元来のひきこもり体質から、孤独なき環境、私秘なき公共、個室なきLDKの窒息感に発狂しそうだが、「いびきがうるさくて寝られない」という真実の訴えによって勝ち取った別寝制、寝室が別とはいっても、僕が寝室から引きずりだしたマットレスを、テレビ前のカーペットに敷いて、洗濯物の山の横で、眠りにつくという情けない格好である。おやすみを言ってから始まる、とろける1人の時間も、ゼリーの盗み食いと、人前では見られないパチスロの動画消費に消えてしまい、気づけば23時過ぎ、「きょうも何もできなかったなあ」と浅く反省しつつ、起業家、実業家、文化人、芸能人、有名人になる夢を見ながら、あせって手にしたハイデガーの『存在と時間』を数行読み、意識が飛び、もう朝のアラームが鳴っている、そんな毎日の繰り返しのうちに、僕という人間は成り立っている。