おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

『小さな習慣』で叶えるビッグドリーム

 

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ティーヴン・ガイズの『小さな習慣』という本を読み始めた。原著”Mini Habits”をである。これは自慢だ。この程度の軽い啓発書は、難なく読みこなすことができる。なにせ僕は英検5級ホルダーであるから、AはappleからZはzooまで、お茶の子さいさい、平気の平左、英単語とは爾汝の仲である。洋書の評判をみる際はアマゾンレビューより、Goodreadsの点数を参考にしている。この本は現在☆4.06(3,672rates)、この数値は食べログで言うところの3.5以上の店に相当し、まあ何を頼んでも外れなしの美味を伝えている。

さあ買った買った。中古訳書と、Kindle原書が同じ600円なら、今すぐ読める電子版を選ぶ。明日死ぬかもしれないのに、のんびりと古本屋のオヤジの発送を待っていられない。三途の川、死出の山で、ああ『小さな習慣』を読んでおけばよかったなあ、と後悔するような人生はごめんだ。

よく子ども時代の自制心の強さが将来の成功を左右する、という話で、マシュマロテストがとり上げられる。僕は小さい頃から欲しいものはその場で手に入らないと気が済まない。スーファミドンキーコング一世風靡した頃、その入手困難な2をめぐって、親を近所のゲームショップへ連れまわし、品切れ品切れと門前払いを喰うなか、ついに在庫ありのお店を見つけたものの、店主のババアがニタニタ笑って1万円という値をふっかけてくる。当時20代の両親の経済では、ゲームソフトに1万円を払う余裕などないところへ、どうしてもその日中に手に入れたい僕は、うなだれた彼らの前へ回り込み、「いちまんえん!そら1万円」と手を打ちながら、おどけ顔で踊ったのである。両親の立場になると、自分の餓鬼っぷりが憎らしくてどうしようもないが、彼らは手を上げず、声も荒げず、ただくたびれた微笑を返すだけであった。「欲しいものは半年も1年も待ったもんや。なんでもすぐに買ってくれると思ったらアカンで」というのが説教中の口グセだが、結局は買ってくれるのであった。

30手前にして自立(人に迷惑かけっぱなしの半自立)をして、両親の偉大さを知る、と書くとありきたりだろうか。ラッパーが感謝しがちなのは、彼らが早期に自立(芸能という食うや食わずの不安定な職での自活)をするからだ、と思い至る。とにかく僕の目の前に置かれたマシュマロは、試験官が手を放すが早いか、姿を消す。自制心なぞクソくらえ、意志力なにクソ根性でやってきたから、いまこの現状がある。

 

『小さな習慣』の要旨は次のとおりだ。

あなたが新たな習慣づくり(ダイエット・筋トレ・勉強・etc..)に失敗するのは、目標が大きすぎるせいだ。まずは一歩を踏み出すために、そして歩みを止めないために、日々の課題をバカみたいに小さく(stupid small)する。腕立て伏せなら1日1回やれば良しとみなす。読書なら1日1ページ、それも嫌なら冒頭1行。執筆は1日50ワード、辛ければ1字でも構わない。とにかく自分でもバカに見えるくらい、実行に抵抗を感じないくらいに課業をサイズダウンしよう。それがあなたのミニ習慣(mini habits)、ミニにタコができるのは田代まさし。ミニバンは家族が多くても車を2台買えない貧乏人の荷台車、ミニロト統計学的無知への課税、ミニスカートは男の夢。

というのが本書の丸写しである。バカにできないのは、これが実際に効力ありげなところだ。

更新が途絶えて、月1回気まぐれに、誰の為にもならない「忙しいです」という現状報告をするだけの、つぶれかけ一歩手前みたいなブログになりかけのところで、こうして露命をつなぐ一記事を上げることに成功している。それはマジに1日1字さえ書きゃあいい、という志の低さと、目標到達になんら肉体的・心理的負担のかからないアホらしさのおかげである。実際は1字で終わるわけがない。あ、とか、うで思考しているのは乳幼児(か、それなりの人)だけである。1字が10行になる。10行が2ページになる。そういうおまけ(bonus)がついていくる。要はノートをどれだけ気楽に開くか、気軽に書き込むか、という姿勢づくりの話なのだ。小さな行動で大きな結果を得ようというのだ。目標が小さければ意志力もモチベーションも関係ない。

プロのアスリート(葛西紀明・スキージャンプ)も似たようなことを言っている。

どうすれば、重い腰を上げて、運動を日々の習慣として始められるのか。…「運動を始めるためのコツ」は、最初の目標設定をできるだけ低くし、運動をする時間も「最初の10分間から」始めて「最大でも30分にする」ことです。まずは「最初の目標設定を、ストレスを感じないレベルまで下げる」ことがポイントです。
40歳を過ぎて最高の結果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方東洋経済新報社

僕には10分の運動も長い。1分だけ、1回だけする、というバカバカしさが必要だ。フットワークが激重な人、なんでも先延ばしにしてしまう人は一読三嘆、あなたの人生を変える本がここに、とまで言ってみる。もちろん最後まで読んでないし、ここでまとめたこと以上の内容を持たない本である。脳科学的にみると…という今日、一番冷める接頭語にだらだら続く、素人(著者は科学者ではなく、何の専門家でもない。しいて言うならセルフヘルプの専門家)による参考文献のまとめが読みたいという人は買うがよろしい。森鷗外の死直前のひとことは「馬鹿々々しい」であった。まったくバカバカしい。僕は歯を1本磨いてから寝る。