おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

ブックオフウルトラセール戦利品

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人が反省なく買い物を戦利品と書くのを見ると、嫌になる。ただのショッピングを大げさに、なに自分の手柄のように報告しているのか。お前はただ欲しいものを手にして、レジに並んで、お金を払うだけじゃないかと。しかし今日、戦いの意味がようやく解った。ブックオフは戦場であった。

 

駅に遠い郊外の店は、地下と立駐に100台を収める大型店舗。平日の昼間は、散歩に疲れたお爺さん、無職のお兄さん、住所不定のお父さんが、それぞれの余暇をつかって安い教養を得る文化シェルターになっている。ふだん1人いるかどうかの通路に、正月休みを持て余した帰省人、親戚に合わせる顔がない寄生人、鼻たれの未成人に、黒キャミソールの未亡人が現れる。肩を左右に入れて海をかき分けるように進まねば、見たい本棚も見られない。ダウンで着ぶくれした人びとの、目にも暑苦しい人いきれと、業務用エアコンの容赦ない熱風で、店の鋳型に沿って溶鉄が流れる。おとそ気分では読めないクソマジメなコーナーしか空いておらず、ここに兵士として死地を見つけたのであった。

 

 

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ヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』
ショーペンハウアー『知性について』
鈴木大拙『日本的霊性
大橋俊雄『一遍上人語録』
出隆『哲学以前』
司馬遷史記列伝』
井原西鶴好色一代男
ベルクソン物質と記憶

 

好色一代男』は、ドナルド・キーンがとりあげていた。

西鶴の傑作は、享保三年(1686)に書かれた、短編小説集『好色五人女』である。
『日本人の美意識』

買い間違えた。五人女のほうだった。一代男のとなりにあって、まさか女じゃあるまい、男に決まってると考えて選んだのだった。くそー。セールが終わるまでに買いに行くか…。

 

パラフィン紙の岩波文庫はお買い得だと思うのだ。

 

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一見汚くても、

 

 

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中は綺麗なのだ。

ここから教訓めいたことも得られるが、人の場合は、パラフィンを剥がせないので、見た目が綺麗なことに越したことはないのである。

 

 

史記』は、司馬遼太郎が、

面白かった、という本は、少年のころからいまにいたるまで、ちょっと数えきれないほどである。…中大人になって『史記』を読み、読むたびに興奮した。
司馬遼太郎が考えたこと2』

 と書いてたので買ってみた。

 

 

一遍上人語録』は、中村雄二郎にこんな言及がある。

一遍は、この世の人情を捨て、縁を捨て、家を捨て、郷里を捨て、名誉財産を捨て、己を捨てという具合に一切の執着を捨てていった。…こういう発想から、捨てることへのこだわりを捨てることにまで徹していった
『知の百家言』

 

断捨離と言う人は、物を捨てる執着まで捨てられずにいる。ミニマルもマキシマルも、同じスケール上の話。欠乏の時代には持つこと、豊富の時代には持たないことが、優越の方法としてもてはやされるだけのこと。こんな生活してますよと他人に見せないことには暮らしに満足できないところに、人とくらべてどうという相対評価の弱さがにじみでている。それに世間の大方のミニマリストは、すでにあるものを無印良品に置き換える消費者のことを言うのだ。一遍上人もそんなことを言ったに違いない。

今年の目標は画面をはみ出すことだ。ディスプレイに終始せず、社会との交流から果実を得ることだ。ところが新年初回からインドア臭ふんぷんである。飛躍の年は空を見る人の発想で、部屋を見る人の僕はまず外出の年である。アレクサンドロス大王は30歳で世界最大版図を築いたが、僕は日本に一版図も築けずにいる。戦利を得る兵士より不戦利を得る漁夫になれないものか。