おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

【食評】こおとこのすずぐち

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お菓子のジャケ買いにも慣れてきた。そんなの誰も食わねーだろ!と思ってもらいたいので、見た目のインパクト(の無さ)は大事である。こまどりのすずやきは、そう、こまどりのすずやきという名前からして、現代風俗に見放された、もはや花鳥風月を愛でるしか消日の趣味がないクソジジイの世界観が反映されている。バタークッキー、ホワイトラングドシャといった軟派文学の専門用語、女子供が休み休み口にするおやつとは売り場が違うのである。この一口に感謝である。胃腸のはたらきにありがとう。入れ歯の技工士ありがとう。膏薬ひと塗りありがとう。「オレオレ」息子にありがとう、床下の不要なリフォームありがとう、である。

 

 

 

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保存料・着色料を一切使用していない。

 

 

 

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それに名誉総裁賞を受けている。
同賞があてにならぬのは、松露のときに学んだことだ。

 

 

 

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ふつうなら、
「保存料・着色料不使用」
「名誉総裁賞受賞」
と書き込んで、売上につなげたいところを、ベタ塗りの一枚絵で勝負する潔さ、媚びない姿勢、「情報料・訴求材一切不使用」の冷たい熱意がこもる影絵の美学。その枯淡にして老獪なわざに魅せられる。人と違うものを食べて、どうにか凡人視を免れたい、僕のような若造は、この稚拙とも洗練ともとれる演出に、マーケティングの論理が幅を利かせた現代駄菓子界への反骨を読みとって、闘志に共鳴し、シンパとなるのであった。イラストは平和とやすらぎの色ではなく、血と革命の旗である。

 

 

 

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ここウマそうに撮れたら僕の仕事は終わりです。

 

 

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これはどうみても、アレじゃないか?
男性諸君が朝晩トイレで対面するアレだ。鈴口って言うぐらいだから、たしかに鈴と似ているのだ。こまどりのすずやきは、こおとこのすずぐちであったか。

 

 

 

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あそこがキュッとなるのは僕だけだろうか…。

舌でそのテクスチャをあらためると、一見ザラザラに見えるが、表面は重層扁平上皮に覆われており、頬の内側のようにすべすべしている。においはない。開高健に言わせると「闇のなかで、鼻と舌で、小さな芽をまさぐった。なじみ深いおしっこの塩辛い味が舌にき、野卑な匂いが鼻にむっときた。野卑は一瞬か、二瞬、耐えると、親しさにかわった」ロマネ・コンティ・一九三五年』――こっちは女の芽じゃなく男のどんぐり(glans)を相手にしているが、同じ器官に同じ粘液線で風味は一緒である。すずやきの先端にブスッと歯を入れると、桃の皮がはじけるように、うす皮がプチッと破れ、なかの尿道海綿体に充満した赤い砂糖がしとどに溢れだし、口が甘みでいっぱいになる。縦横に走る繊維が空気と唾液と血液とを含み、洗い場のスポンジのような食感を生み出している。さすが昔ながらの製法を守っているだけある。ほかのお菓子に含まれがちな陰茎筋膜・浅陰茎筋膜を一切使用しないこだわりで、ふつうの陰茎体では得られない尿道海綿体特有の味を実現しているのだ。雑味がない。というか味がほとんどなく、酸っぱくない梅干しを口のなかでグチャグチャとつぶしているような歯ごたえだけが残る。子供の頃、近所のおじさんに誘われて口に含んだすずやきの味がよみがえる。それは懐かしの記憶、にじいろのかがやき。