おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

【食評】時代遅れバンザイ!駄菓子バンザイ アベック奉天

f:id:gmor:20181130175230j:image

駄菓子を勝手にことほいでいる。死語アベックに、時代がかった単語「奉天」を合わせた、妙なアベック熟語。朝シャン珈琲、おニャン子部落、5時から男の体内時計、PPAP文具店、なでしこジャパン人形、房中術ワンフィンガーでやるもよしツーフィンガーでやるもよし、ルーズソックス口に苦し、ムネオハウス設計事務所ウゴウゴルーガ一生の恥、オヤジギャルの父、保育園落ちた日本死ね保育園、アッシーくん万歩計、ヤンママ人面にして獣心、ガンバルンバ老人ホーム、援助交際蝴蝶夢中家万里。

 

 

 

f:id:gmor:20181130174956j:image

奉天は、豆状にしたかりんとうのぐるりを、飴でコーティングしたお菓子を言う。見た目は食物というより木材だ。

 

 

 

f:id:gmor:20181130174934j:image

うっすらと中が透ける。どの虫と言わないが茶色い羽が連想される。

 

 

 

f:id:gmor:20181130174939j:image

簡単に噛んだように見えるが、鉱物のように硬い。犬歯で割るようにしがんでもビクともせず「こうやって食べるんだよね?」「これであってるよね?」と何度も口から離して本体の可食性を疑うことになる。

歯医者から「歯ぎしりで歯がV字型にすり減っているので、硬いものを食べると、先端が割れてすごいシミますよ」と脅された。人間魚雷、回天で敵船の腹めがけて特攻した兵士たちも似た気持ちだったろうか。僕は「駄菓子バンザイ」と涙して、欠歯の覚悟で奉天に乗り込んだ。

電灯ひとつない暗闇の船内(どうして駄菓子に電気があるだろうか)は、漏れるガソリンと排気ガスの臭いでムンムンとしている。操縦桿はない。小腸に生えた柔毛みたいな丸い突起が壁一面にもこもこと密生している。頭をなでると砂が落ち、かりんとうのこげた砂糖の匂いがした。魚雷が進みだす。海中、敵が敷いた防潜網の飴をパリパリ割って突き進む。ねばっこい、象の汗のような甘い振動が、船体からお尻へ、お尻から味覚中枢へびりびり伝わってくる。壁のかりんとうがポロポロ落下して、ガソリンとガスと廃液と、どこからか染み出した透明の液体と水飴と虫歯菌とに溶け合いながら、船体のカプセルに甘露のジュースが満ち始める。上方にわずかに残された空気のかたまりに口づけして、息するが、しかしこれから死ぬというのに、なにをここで長く生きようとするのかと自分で自分がおかしくなってしまい、僕は風呂釜に潜るように船底に身を沈めた。ドロドロの飴とかりんとうの結晶に肺を侵されて、あたかも自分が船体のすみずみにまで拡張し、船もろとも一本の巨大な舌となって、砂糖の海を一直線に裂いて味わうような気持ちになった。駄菓子バンザイ、駄菓子バンザイ。舌先がカチリと標的をとらえた。それはまた別の奉天だった。おいおい、味方同士で仲よくやり合ってどないすんねん、わしらアベックやないねんから。海の底にチカと一瞬白い花が咲いた。

 

 

 

f:id:gmor:20181130174946j:image

もう終わりだけど、白もいっとく?

 

 

 

f:id:gmor:20181130174951j:image

はい。

 

 

 

f:id:gmor:20181130174943j:image

白×黒が唯一のアベックのかたちではない。白×白も黒×黒も、あえてアベックにならない選択も尊重される。肌も指向も違うお菓子がひとつの袋におさまって初めてアベック奉天なのだ。戦争、平和、愛のかたち、人として地球に生きることを一口に学べる駄菓子、それがアベック奉天なのだ。