おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

お前らが松露を食わないのは正しい

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スーパーのバイトで、この松露を品出ししてから、私はこいつの魅力にやられてしまった。松の露(つゆ)という風流な名前、古くさい字体、緑を基調とした地味なパッケージ、どうでもいい松の絵。

 

 

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得体の知れない中身。しかしなんとなくチョコレート菓子のトリュフに近い食感が想像できる。なぜなら松露とは海岸線の松林に生えるきのこの名で、トリュフはまさに西洋松露と書くからである。原材料はチョコの代わりに、あん。

 

 

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そして名誉総裁賞受賞の文字。
なんだそれ。どうせモンドセレクションみたいに出しゃもらえる賞だろ、と思いきや、戦前から100年続く博覧会の最高賞であった。私は権威に弱い。著者略歴に東大卒とあれば、腸の若返りも信じ、ランキング1位と見やるや羽生結弦のフォトブックだって買い求める。

 

 

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中身のぎっしり詰まった茶色の球形がじつに優雅である。くぼみに舌をはわせて、今にもむしゃぶりつきたくなるような精気の充満である。松の茂みからぬっと突き出た長身の松露が、潮風に打たれるようにドクドクと脈打ち…

 

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はやく口に入れてしまいたくなる誘惑の外観である。色みを喩えるなら、白カビに覆われたきんに君のちくび色とでも言おうか。歯を入れる。かたいともやわいとも言えぬ弾力は、用を足したあと、向き直って便器に顔をうずめ、検体採取用のスティックでぬらぬらした表面を突き刺すときの感触と同じである。チョコレートアイスの要領でそのままスティックを口へ運べば人として別天地が拓けるだろうが、ひとまずここは松露である。砂糖の衣がさぞ甘いのだろうな、と待ち受けているものだから、初めに甘みが来ないところで第一のまずい、が起きる。白は砂糖の白でなかった。スイーツは意外と甘くないところが評価されるのだから、と無味の土だんごを我慢してすり潰していると、午前5時前の黎明のようなあずきの甘みが口の暗黒に赫く射してきて、第二のまっずが引き起こされる。そうだ、あずきは嫌いだったのである。原材料の生あん(小豆・いんげん豆・えんどう豆)は、すべて私の嫌いな豆類から作られていた。見た目が美味しそうな女が威張り屋、ちらかし屋、剥きあずきからできた生まんだったらどう思うか。これなんかは書き出してから後悔した一文だったが、松露を買った悔しさに較べれば、し尿処理施設前の立ち小便といった感じである。3つも食べると、床下の湿気みたいなあずきの甘みで、のどに壁ができる。もったいないので、病人のように1日3錠、我慢して口に含んでいるが、これがどちらかと言うと病のもとになるのだからあんまりである。