おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

ポテチの皇帝インペリアルコンソメを食す

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インペリアルなのか?

 

 

f:id:gmor:20180829172731j:image和牛、国産ほたて、伊勢えび…
香味野菜に白ワイン…すごい!

しかしすべては「ような」の一語に解体される。
煮詰めた、のでなく煮詰めたような。
シェフは一体なにをしているんだ。

 

 

開封の儀。

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開けた瞬間、和牛と魚介の芳醇な香りがひろがらない。目をつぶれば繁華街を歩いたサンダルを嗅がされていると言われても疑わないだろう。

かたち。均整がとれている。アン・インペリアル、庶民のポテチは急須のフタほど大きい小判、逆に50円玉みたいに屈強な小銭が混じる。帝国の兵隊は同じ顔だ。企業説明会に似た偏差値の学生が集まるのと同じく、うらに巧妙なフィルターの存在を感じさせる不気味な一体感である。箸でつまむと(ポテチ専用トングを売る会社もあるが、犬用ネクタイのほうが欲しいくらいだ)、安ポテチよりきつね色濃く、慈善パーティーの胸飾りにふさわしい。表面をじっくり眺めると、砂より小さい赤と黒の粒子が点々とついているのがわかる。これがおいしさの秘密だろうか。バンギャの髪の毛、いちご大福、金田のバイク、セアカゴケグモ、フライトレコーダー、ショーツとブラジャー。秘密はいつも赤と黒のうちにある。

噛む前に舌の上で味ひろがる。酵母エキスパウダー、ホタテエキスパウダー、ビーフエキスパウダー、えびパウダー、白ワインパウダー、ダニエル・パウターの粉末が溶けるのだ。いもをかじった口で牛に噛みつき、すき間からホタテとエビを突っ込んで鼻から白ワインを飲むような味だ。本式のコンソメスープは知らない。カルビーコンソメパンチかコンソメWパンチで味を知った。ポテチから想像するコンソメスープはまずいが、このインペリアルに限り、元のスープが欲しくなる。

噛んで飲んでもまだうまい。味が残る。正確にいうと、歯のくぼみに残ったカスさえうまい。息をすると鼻からコンソメのにおいが抜ける。セーヌ川のほとりで、石橋がパリを区切る景色を見ながら、焼きたてのクロワッサンを食べるようだ。いや、実際に想像されるのは、鉄格子のバケットに入った原材料のじゃがいも、土をかぶって黒ずみ、遠目には採掘場の岩石となる。工業製品を造るような油と錆と潤滑水にまみれた巨大機構のなかへ、じゃがいもがベルトコンベアで運ばれていく。土をふるい落とし、洗剤で洗う。扇風機のようなブレードが皮を剥ぐ。念入りに洗浄された裸のじゃがいもは、白衣、白帽、白マスクの作業員のわきを通る。工員はじゃがいもを厚手の軍手でつかみ、汚れたまな板上で残った皮やヘタをカットする。川はスライサーへ落ち込み、吐き出し口から、ナシの断面のようにまっ白で薄いじゃがいもがあらわれる。それが何百何千枚と折り重なり、水を撒いた金網の上を進むとき、ひたひたと浅瀬に遊ぶ魚群のウロコを思わせる。フライヤーを通るとじゃがいもが反り返り、もうポテチだ。全身ビニルに衛生キャップの工員が、出来損ないのポテチを溝にはねる。最後はドラム式乾燥機みたいな機械で、味付け用の添加物にまみれて完成だ。ああ。うまそうじゃないか。製造過程を思うとますます食欲そそる。ある和食屋ではタッチパネルで注文をすますと、座席わきのコンベアにのってプレートが配膳される。そうこなくっちゃ。作務衣にねじりはちまきの職人がカウンター越しに魚を捌いて握る寿司より、キュルキュルと回転する緑色のゴム筒の上を音もなく滑る盛り合わせのほうが、現代の風情を感じさせるものだ。伝統はいらない。ポテチに限らずすべての食品はインペリアルよりインダストリアルに価値がある。そう、これはまさにひと袋の産業革命や~~!

 

 


ラジオトークうpしました。

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