おならっぷばーん

You can't fart without changing the balance in the universe.

さかなクンはマグロ女の夢を見るか

 

バイト先のスーパーで流れる曲がある。



『おさかな毎日!さかなクン』だ。全漁連の魚食普及ソングで、魚を食べると良いことがあるから食べろと訴える。

仕事中、さかなクンが特有のかん高い声とテンションで歌う「世のなか泳ぐ力を~ おさかなパワーでチャージ~♪」のフレーズがエンドレスで耳に入り、働く気力がディスチャージされる。本当はダメだが、誰も見ていない隙にラジカセのスイッチをこっそり切る。店内は依然、レジと有線の雑音でうるさいにもかかわらず、森の静寂が訪れたようである。 

・・・

きょうは休みだ。

本屋へ行くために着替えるが、この上着にこのシャツは変だろうか、と悩むうちに疲れてしまい、家に居るほうがいいと思い始める。5階に上がって映画、芸術、写真集、2階で文庫を見て…と順路を思うだけで行った気になる。「どうせ何も買わないくせに。靴底がちびるだけだ」とナマケモノの悪魔が加勢する。そこへ「せまい予定調和の世界で満足するな。外界はつねにどうなるかわからない偶然性のかたまりだ。不安に挑むことで脳は興奮し、創造的になるんだ」と語るモギケンイチロウという名の中年天使がやってくる。そうだ、俺はもっとクリエイティブに生きたい。じぶん共和国を抜け出して、世界と向き合うのだ。意気込み、家を飛び出して階段を降りること十数段、ケータイを忘れたことに気づいて家に戻り、そのまま2度と部屋を出ることはなかった。

さかなクン、ぼくは世の中を泳ぐ力が欲しいよ。