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おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

GWふりかえり

 

 

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商業ビルのテナントが一斉にGW商戦を仕掛けるなか、一銭たりとも落としてたまるかと気張り、消費社会とバイトの安月給を恨んでいたが、100円ショップでペンケースを買ってしまった。

午前4時に起きて開店前のスーパーで働く。帰宅後、ご飯を食べてひと眠りするひまもなく彼女との待ち合わせ場所に向かい、人でごった返す大阪の繁華街を連れ回された。ぼうっとする頭でみたペンケースのメッセージ "I'M BORED" に他人事、物事とは思えないシンパシーを感じた。彼女は「ほかにもあるよ」としきりに別のデザインを薦めるが、僕はこれしかないと言って譲らなかった。"HAPPY LIFE" など見るだけで寒気がするじゃないか。J-POPアーティストの流行歌に「共感した」「気持ちを代弁してくれる」と語る女子高生をみるたび、安い歌詞に感動する浅薄な奴らだと蔑んでいたが、そういう自分が百均のポリプロピレンにこころ動かされているのだから、人間の浅はかさは争えないのである。

デートの待ち合わせ場所に大阪城公園が指定された。ふだんは梅田駅なのに妙だ。ピクニックでもするのかと思って向かうと、駅のホームからすでに異常な人だかりである。10代、20代の若い女性ばかり、まっ白にべた塗りしたファンデーションの上からどぎついピンクの口紅を引いて、髪を巻き、目をひく鮮やかなブランド服を着ている。男が全くいない。全人類中、自分がたった一人の男で、あとは女だらけという高校時代に妄想した世界は、楽園ではなく地獄なのだとこのとき悟った。

あとから聞けばこの日、大阪城ホールでジャニーズのライブがあったそうだ。ハーレム世界のおぞましさの正体は、ファンの女性から醜い異生物を見るような目で見られる苦しさであり、男として認知されない辛さであった。どうしてそんな場所に呼び出されたのかと言うと、彼女がライブに参加していたのだ。

寝室の四面をポスターで埋め尽くすジャニオタが、どうして僕と一緒になったのかよくわからない。ジャニーズのタレントがトイレと無縁なら、僕は古い和式便器を枕にして、飛び散る糞尿で濡れたタイルのうえに身を横たえて夜を明かすような男である。美しいものばかり見ると、汚いもの醜いものに感動を覚えるようになるのかもしれない。外食が続けば、白ご飯にふりかけの質素な食事がおいしく感じられるのと同じ理屈だ。美しさにおぼれると、気を抜いた瞬間に選択をしくじる。美意識の高い人間は、総じて悪趣味である。彼女もアイドルにむけてサイリウムを振っているあいだに、もう一方の腕で僕みたいなダメ男を掴んでしまった。ものは試しに「おれとそいつどっちが大事なんだよ」と詰め寄れば、「それとこれとは別。というか比較にもならない。同じステージにいると思わないでもらいたい」と真顔でやっつけられた。「スケジュールが重なったらどっちを優先するんだ?」と訊いてから愚問に気がつく。答えはすでに出ていたのだから。

 

 

 

今週号のパーツ

・試される論理的思考力

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