おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

傾き蔵書

ブックオフで買った本に蔵書印をみる。
たとえば、こんな感じ。

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店で「これは!」と手にした本に、ことごとく「木内蔵書」のしるしがあって、木内さんとの読書趣味の一致ぶりに運命すら感じた。ぜひ木内さんの本棚を覗いてみたい。とはいえ蔵書印を持つほどの読書好きがそうやすやすと本を手放すとは思えず、これだけブックオフにその愛蔵の品が並んでいるということは、家人が処分のために売り払ったとみるのが妥当だろう。つまりこの本の持ち主はもうこの世にいない。

・・・

蔵書家の条件は何だろう。

本が2,000冊あること?
本を冊数ではなくトンで数えること?
本の重みで床が抜けること?
本を置くために倉庫を借りること?

正解は、蔵書印を持つことである。蔵書印さえ押せば、本棚にたった1冊しか本がなくとも、ちゃんと蔵書があるわけだから、これはもう立派な蔵書家である。本を読まねばならぬ分、読書家になるほうがよっぽど難しい。本は読むより買うほうが好きなので、僕は蔵書家になることにした。となれば次の課題は蔵書印である。 

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伊藤さんのように、フツーの印鑑を使うこともできる。経済的だが、ちょっと重みに欠ける。本に所有感も生まれない。まるで惣菜屋の領収書である。コロッケの注文伝票である。やはり蔵書印は専用のはんこでなくてはならぬ。調べると、ゴム印なら2,000円程度で手に入る。案外安いので、買ってみた。

 

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つぎの問題は、はじめての相手をどうするかだ。そのへんの、なんの思い入れもない中古本に使っても仕方ないし、急いで新しい本を買いに走るのも滑稽だ。やはり特別な1冊に限る。

 

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特別な1冊は、ジョージ・ウィリアムズ『生物はなぜ進化するのか』(草思社)。中学生のときに、漫画コーナーとは別の「オトナ」の本売り場にはじめて足を踏み入れて、はじめて自分の小遣いで買った一般書である。

細胞分裂もしらぬ中坊にとって、進化論は難しすぎたが(たとえば冒頭の一行「本書のサブタイトルは『適応論的アプローチ』でもよかったかもしれない」。ナンジャソレハ、である。正直いまでも読み切れない。僕の頭脳はあの頃から全然進化していないのである)、とにかく僕の読書歴はこの本から始まった。押すのはこれだ。 

 

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本名だとブログに載せらんねーじゃん!ってことで、ハンドルネームにした。これだと、どんなに恥ずかしい本でも、家族友人に僕の蔵書だとバレることはない。それにちょっとオシャレじゃないですか。

・・・

これで蔵書家の仲間入りだ。本は売らない主義だから、傾き蔵書が散って世に出るのは、僕が死んだときだ。ある日、ある青年がある古本屋で手にしたある本の奥付に「傾き蔵書」の文字を見る。なんだコレは、と検索した先にこのブログを見つけて、もとの持ち主を知る。そして彼もまた蔵書印をつくり…ってロマンチックじゃないですか。それまでにはてなが潰れてなきゃいいけど。

 

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