おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

ブックオフ・スカベンジャーズ結成

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花の盛りもいつしか過ぎて、行く春を惜しむ季節となりました。皆さんお変わりございませんか。

いよいよ夏の背中が見えてまいりましたね。しかし、この陽気のうらには、どこかじめじめした陰気な熱が潜んでおります。新生活を華々しくスタートさせた人間の足元には、例年4,5月にピークを迎える自殺者の死体がごろごろと転がっております。

山を見てください。山肌にみなぎる濃緑は、生きものの力強さを象徴しております。ちょうど放置したパンの上に鮮やかなカビがわいて出るように、死体の山が腐り落ちていく瞬間にも、カラーパレットの転覆は起こるのでございましょう。それは遠目に見る山々のように濃いグリーンの発色かもしれません。

さて本日は、ブックオフで買ってきた本の報告会です。世界的なアベンジャーズ人気にあやかって、ぼくはこれから「ブックオフ・スカベンジャーズ」(スカベンジャーとは、ゴミやクズを集めて生活する人のこと)の一員を名乗ることにします。

原義では、ブックオフで仕入れた本を販売して利ざやを稼ぐ「せどらー」のほうが、スカベンジャリスティックですが、ぼくはヒーローの側面をつよく意識したい。つまり、毎週毎週くだらない本を買いあさり、消費者として資本主義社会の存続に貢献している以上、地球防衛の役目を全うするという意味ではアベンジャーズと大差ないわけです。むしろアベンジャーズという巨大フランチャイズ映画の世界こそが、一般大衆の投銭によって支えられているのだから、一体どちらが守ってやっているのかという話になります。

 

今回の収拾品はこちら。

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めぼしいところで言うと、ラサール石井笑いの現場――ひょうきん族前夜からM-1まで』(角川SSC新書)。

「テレビ」と「お笑い」がシンクロを始めたバラエティ番組の黎明期に、「コント赤信号」のメンバーとして活躍したラサール石井が、日本お笑い界の歴史を振り返るという趣旨の本です。

ビートたけしB&Bザ・ぼんちの全盛期を知らないゆとり世代なので、まるでピンと来ない話が多いなか、ダウンタウンに言及した箇所は印象に残りました。

松本人志について「『笑いという作業を松本がしている』のではなく『松本がしていることが笑いなのだ』という状態にまで観客の感性をリードしていく、ある意味宗教的な境地に達して」いると言います(p.204)。かつて伊集院光もラジオにて「松本人志さんの凄いところは、彼の笑いを分かっているのは俺だけだとみんなに思わせるところ」だと言ってました。

ぼくはダウンタウンの大ファンですが、最近のバラエティ番組による彼らの持ち上げっぷりには疑問を感じます。「ダウンタウン」という商品の新鮮さを保つために、過去の偉業を掘り返して、くりかえし権威付けを行っていく作業は、ブランドマネージメント的な手つきが感じられて、見ていて不快です。

番組づくりにしても、彼らの発言だけが大きくテロップに起こされ、ほかの後輩芸人の発言は番組上で無きものにされるなど、ダウンタウンの「おもしろさ」が操作的に生み出されている(と疑いたくなるような)場面を多く目にします。視聴者はもちろん、番組制作の関係者もみな「松本がしていることが笑いなのだ」という主客転倒の教義を無批判のまま受け入れて熱狂しているのではないでしょうか。

このブランドだから良いモノなのか、良いモノだからこそブランドなのか、という問題の切り分けは、ある時期から不可能になります。しかし、ダウンタウンに限りぼくは、面白いからこそダウンタウンであって欲しいのです。

 

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