おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

ワルと手紙の意外な関係

 

集英社の季刊誌『kotoba』買いました。「映画と本の意外な関係」という特集が組まれています。映画と本ですよ。食べ物で言うならカレーとうどんです。

ですが、カレーうどんは万人受けを狙ったつまらない料理ですよ。そんなものより、『チャンプロード』のようなパンチの効いた一品が食べたいわけです。

 

 

 チャンプロード 2015年 05 月号 [雑誌]

チャンプロード 2014年 12月号 [雑誌]

チャンプロード 2014年 05月号 [雑誌]

この雑誌は、『マドンナ古文単語』とおなじく高校生の必読参考書です。特にわたしの通っていた学校のように、バカなのにもの静かで、波風立たせることなく学園生活を全うすることを良しとするボンクラが集まった学校では、うわさに聞くヤンキーのかっこいい不良生活がいかなるものか、まったく想像がつかないわけです。

それでも学年に1人だけヤンキーがいました。彼の悪行は、学校まで原チャリで来る(そして見つからないように遠くに停める)ことでした。それでもわたしたちは、「あいつはヤバい…」と震え上がったものです。原付免許をだれもとらないような学校では、バイクに乗るだけで立派なグレになったんですね。

ひさしぶりに『チャンプロード』読むと、これがおもしろい。昭和文化が残っているというか、街中に電気自動車が走って、これからは自動運転だって時代の現象に見えないんですよ。30年前のバイクに、赤白の旭日旗を描いて、走るんですから。

「ブンブンうるさくて許せない。ちかくに病院があって、人が生死をさまよってるかもしれないのに、非常識きわまりない」と怒る友人には悪いですが、わたしは正直いって彼らの青春の過ごし方を思うとうらやましい。学校もいかずに仲間とつるんで、夜な夜なバイクで街を走り抜ける。10代の疾走感をこれほど象徴的に表したものはないでしょう。

この雑誌、文通のコーナーがあるんです。文通ですよ。投稿者が送ってきた直筆の手紙をそのまま掲載して、ペンフレンドを募集するんです。いまどき文通はねーだろと思うじゃないですか。でも実は深いワケがあって…たとえば、文中にこんなことが書いてある。「とある事情で18年間シャバを離れることになり……」高い塀の向こうから送られてくるんです。

古典的な連絡方法がこんなところで脈々と息づいているんですね。『劇場版テレクラキャノンボール』を思い出します。出会い系アプリ全盛の時代に、テレクラを利用する人はそれなりに年配者なわけで、同じように手紙の主もほとんどが40代後半の男性になります。「でもバリ×2若いんで」という言い回しが文中に多用されるんですが、この世代に共通した若さ表現というか、「ナウなヤング」感が伝わってきます。「ギャルからの返信まってます」という希望は叶うでしょうか。今どきのギャルは切手の貼り方を知らない恐れがあります。それから「釣り」を警戒して「冷やかしの手紙はいらない」と言うんですが、そんなこと誰もしないと思います。だって懲役18年ですよ。釣ろうとしたらホンモノの人食いザメが掛かるってことですから。

みなさん達筆で、文章がうまい。スペースが限られているので、少ない文字数で、的確にアプローチしていかないとダメなんですね。今どき、これほど情熱的にハガキや手紙をつかってメッセージを発信してる人なんていないですよ。カタギの人間は、年末になって、インクジェットの年賀ハガキにしぶしぶヒトコト添えるだけですから。日本郵政はCMに受刑者を起用すべきです。

 

広告を非表示にする