やかましい

 

買ったものを紹介するだけのブログになってきた。

ミニマリストと呼ばれる人たちをどちらかと言うと半笑いで見ているが、彼らのいう「身の回りにあるモノはたいてい要らない」という意見には同意する。齋藤孝のうすっぺらい新書も、ジャッキー・チェンの自伝も、紙ねんども、突き詰めれば不必要なものだ。でも買ってしまう。罪悪感に耐えきれず「実は…」と語り出す、取調べ室の容疑者と同じである。いらない、と心のどこかで思っているから、自分の買い物の言い訳をしてしまう。

先週からずっと探していたものがやっと買えた。

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アナログのキッチンタイマーである。

どうしてこんなものを? と言えば、自制心がないからだ。本を読むなり、ものを書くなり、部屋を掃除するときに、いつも「20分だけやる!」と決めてiPhoneのタイマーをセットする。でも、LINEの通知を見ると開かずにはおれず、続くメール、Twitter、ブログのチェックで、30分を無駄にする。解決策は、精神を鍛えるか、純粋なタイマーを買うかの二択であり、私は金で物事を丸くおさめる方法を選んだ。

デジタルタイマーは100円ショップにいけば、いくらでも手に入る。でも、どうせならアナログが欲しい。チコチコと鳴る音に急かされる気がするし、時間が過ぎるさまを直感的に把握できる。なにより設定した20分が、ぜんまいの加減で、20分にならないデタラメさがある。デジタルタイマーが一銭も漏らさぬ鬼の経理課長なら、アナログは、八百屋にいる二日酔いの店主である。もともとしたくない取引をするのだから、お釣りを間違えるような余白がないとツラいではないか。

ホームセンターで見つけるまで各所を探しまわった。どこにも置いてないのだ。ただでさえスマートフォンで代用がきくタイマーである。とっくに時代遅れの商品で、更にアナログとなると、これがデザインに凝った悪趣味のキッチン用品しかない。タイマーに2000円は出せない。一度は、ごみ置き場をあさって、オーブントースターのタイマー部分だけを分解してこようかと本気で考えたくらいだ。

手に入ってよかった。ただこのタイマー、ベルを叩く音がうるさすぎて、作業に没頭していると、けたたましい終了音にびっくりしてその場で飛び上がることになる。今では驚きたくないあまり、タイマーを回さずに作業するようになってしまった。片付けにときめきを感じる断捨離主婦連、大いに笑うがよい。しかし、あるモノは使わずとも存在しているだけで意味をなす。実用性だけではかえって貧しい。豊かさの指標とは、無用の用をなす無用のものを生活でいくつ持てるかである。

 

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