おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

クリムソンレーキ

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前に宿題を手伝った高校生の従妹(※タンジェントからポスターカラーを貰った。前回の訪問時に、使わない絵の具セットがあったらくれ、と頼んだらしい。自分ではすっかり忘れていた。確かそのとき彼女は、芸術は音楽選択だから道具は持っていない、と答えた。

気恥ずかしそうに絵の具の入ったビニール袋を手渡す彼女に、わけを訊くと、近くの文房具店で安売りしてたから、と言う。少ないバイトの給料をはたいて、わざわざ買って来てくれたのである。自分では忘れるほど軽い気持ちで言ったぶん、突然のプレゼントが嬉しく、真剣に考えてくれたことが申し訳なかった。なにか早急に1枚仕上げて彼女の厚意に報いなければ。そんな使命感に追われて、大晦日に遠方のスーパーまで絵筆とパレットを買いに行った。

絵が好きだ。と言うと女性は画材をくれる。学生時代に付き合っていた子は、なにかと機会を見つけて、スケッチブックや外国製の色鉛筆を贈ってくれた。そのたびしまったと思うのだが、今さら要らないと突っぱねることもできず、黙っていた。絵は好きだが、それは観るのが好きであって、描くほうは大して好かない。ほんとうは画材より画集、パレットより展覧会のチケットが欲しいのだ。なにか描いた、と会うたびに訊ねる彼女に、まだ途中だから、と嘘をつき続ける。結局1枚の絵も見せることなく別れた。

同じ過ちを繰り返さぬよう、自分の舌足らずと、自慢の長広舌を戒めなければならない。芸術の資質をアピールして相手から尊敬を得たいがため、決まってこんな話をしたのだ。「おれは小学生のとき教師に呼び出されて将来画家になれと言われた。中学にあがっても美術では10をとり続けた。」そう言えば聞こえはいいが、何のことはない。小学校では紙を透かして裏の手本をまるまる写しとり、中学では他の生徒が1枚書くところ、2枚書いて無理やり内申点を高らしめる物量作戦を実行していたのである。それが証拠に、美術教師はよく私の絵に「2つやるなんてえらい!」とコメントを添えた。質ではなく量を褒めるのだ。おれは画家になれるかと無邪気に尋ねたら、馬鹿か周りを見ろ、世の中にはほんとうに才能のある奴がいる、とばっさり切り捨てられた。厳しいようだが、なにかと夢見がちな子どもを甘やかして育てるより、遥かにやさしい指導であった。

 

ドーナツツーシーター田代まさししんどさ作詞ショッピングセンタータンジェントTalking with Script Doctorらももういくつ寝ると倒立積ん読→クリムソンレーキ→?

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