ドーナツ

近くに住む親戚の子がコンビニでアルバイトしていて、賞味期限切れの廃棄を分けてもらう。おにぎり、パスタ、焼きそば、かやくご飯、ジャムパン等々。残念ながら商品は売れ残ったから処分されるわけで、昼食夜食にじぶんで買いたくなるような一品ではない。タダでおすそ分けしてもらっているのだから、文句は言えない。

最近、ラインナップに変化があった。

今までは主食と惣菜だったのに、ドーナツが入るようになった。どんな食品よりも嬉しい。コーヒーにあう菓子類のなかでも、とくにドーナツは大好物である。秘かに白んだ内股に歯を当てるような食感、舌で押しつけて生地に染み込んだ甘みを吸い出す、あの幼児的な口唇期の快楽を思うと、よだれが垂れてくる。うまいものは身体にまずい。先日、朝からコーヒーとドーナツを交互に食べ続けて、ほかに何も口にしないでいたら、具合が悪くなった。

ドーナツ好きを自任しているくせに、2コも食べたらウップとなる。ひとつで止めておけばいいのに、次に手を伸ばしてしまうところがドーナツの恐ろしさだ。ある友人は、夕食をたらふく食べたあとに、ミスタードーナツの箱を開けてしまった。ポンポンと口に放り込んだ災いを受けて、しばらく胸の悪さにのたうち回ったそうである。

ドーナツはあの箱がいい。たくさん買うと、ケーキを包むような紙の箱に入れてくれる。留め具の役割を果たす半円形の耳をはじいて、取っ手をつかみ、観音開きにすると、箱の底でドーナツが整列してこちらを見ている。その色とりどりは、紅葉に染まった丘陵地帯の連なりを高峰から望むようである。この景色に魅せられてついつい食べ過ぎる。

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小さい頃はミスドでショコラフレンチしか食べなかった。調べると、復刻キャンペーンで一時的に提供されるほか、通常メニューからは消えてしまっている。母と買って食べたショコラフレンチは、いまでも思い出の箱のなかで甘く香っている。

 

ドーナツ→?

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