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おならっぷばーん

なにも考えずに、楽しむ

「BobとChikako」のはなし

ブックオフに行ってきた。

警備員のおじさんがいなくて助かった。前に一度、バイクの停めかたで怒られたのだ。店内にいたら雷がごろごろ鳴るので、これはひと雨くるなと思って、野ざらしのバイクを屋根のある駐輪場に移しに行った。ヘルメットに水が溜まるのを防ぐためだ。水を吸ったスポンジの感覚は不快そのもの、ずっと換えないオムツをあたまに穿かされているようなものである。店に戻ったとたんに嵐になった。ゆっくり買い物を済ませて駐輪場に向かうと、警備員さんが寄ってきて、「ここは自転車専用のスペースだから」と言われてしまった。いや、これも原動機付"自転車"なのでね、という屁理屈をいったん頭でこねてから焼き窯に入れて、口では「あっすいません、そうでしたか」ととぼけた。バイクを移動させる姿をはっきり認めていたらしく、「お客さん、分かってるでしょう?」と追い打ちをかけられる。お手上げだ。「いやはい、すいません」と笑ってごまかすしかなかった。ヘルメットは、屋根の継ぎ目から漏れる雨水で、びしょぬれになっていた。底に水溜りができている。自分さえ良ければ、と思って動いたら罰が当たるのだ。そんな昔話があったなあ、ぼくはオムツを巻いた頭でそう考えた。

今日買ったのはこの3冊。
志賀直哉『暗夜行路』(新潮文庫)
野口冨士男編『荷風随筆集 下』(岩波文庫)
谷川俊太郎『これが私の優しさです』(集英社文庫)


能町みね子の『トロピカル性転換ツアー』(文春文庫)を、ぎりぎりまで買うか悩んだ。タイ(?)で体験した性転換手術のもようを、こと細かに記録した日記だ。これが生生しい。一番気になる、アレの問題を淡々と語ってくれる。作中のことばを借りれば、「ちん子」「まん子」の具合である。カタチは? ちゃんと感じるの? といった少年少女の疑問である。術後、「玉がカユい」と脳では感じても、肝心の臓器がないから、どこにカユみがあるか分からないという記述が興味深い。手術をしない人でも、なんだか理解できそうな不思議だ。すぐに読めそうだし、借りたほうがいいんじゃないか? という考えがよぎって結局買わなかった。

桂枝雀 爆笑コレクション』(ちくま文庫)が全5巻のうち2巻だけ、100円コーナーに置かれてあった。落語の本はなかなか100円の棚に落ちてこない。これは買いだ、キープ!キープ! と目をつける。店内をぐるり一周して戻ってきたら、棚からそっくり姿を消していた。やられた。きっと、あの辺にいた白髪のおじいさんだ。くやしい。コレは! と思った本は、かたっぱしからカゴに入れていって、あとからゆっくり吟味すればいいのに、なぜしなかったのか…。

洋書のコーナーに John Green, The Fault in Our Stars. があった。一時期「泣ける」と話題になった本だ。それが200円で売りに出されているから、おっ、と思って手に取る。表紙をめくると「To Chikako」の文字があった。この本を贈ったBobのメッセージが続く。「今まで読んだ本のなかで最高の本だよ(まじで)、ぜひ読んでみて。大丈夫、ぼくはもう一冊買ったんだ。愛してる」みたいな内容だ。ぼくがBobだったら悲しいよ、Chikako。泣ける本ってそういう意味じゃないはずだろう?

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