おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

最近こんな本買いました。

1.齋藤孝 『前向き力―脱力すればうまくいく』(ちくま文庫)
2.高橋浩樹『論語韓非子で学ぶ入試漢文』(学研合格新書)
3.斎藤茂吉万葉秀歌 下巻』(岩波新書)
4.開高健 『輝ける闇』(新潮文庫)


 

1.

前向き力: 脱力すれば、うまくいく (ちくま文庫)

前向き力: 脱力すれば、うまくいく (ちくま文庫)

 

齋藤孝の著作は初めて。『コミュニケーション力』、『読書の全技術』でその名前は知っていた。ビジネス書や新書のコーナーでかならず彼の本を四、五冊みるから、かなり多作の人という印象だ。その執筆活動を支える猛烈なクリエイティビティは、どこから湧いてくるのだろうと不思議だったが、本書にそのヒントがある。

たとえば、著者はかつて「いい文章を書こう」と気合を入れるあまり、一日を費やして原稿用紙一枚を書くことができなかった話を引き、同病に苦しむ人にむかって完璧主義から六割主義へのシフトを提案する。この心構えは、彼の爆発的な筆勢を説明するだろう。さらに直接、本の出版に触れた箇所もある。

本を出す時も、一年に一冊だと、もし売れなかった時にショックは大きいし、次の本の依頼も来なくなる。だが同時並行でどんどん出していくと、一冊売れなくても、そのことでクヨクヨ考えている暇がない。すぐに次の本の作業がやってくるので、仕事に追われているうちに、一冊くらいはヒットする本も出てくる。そうすると、全部成功したような気分になってくる。(p.100)


彼の著作がこれほど世に出る理由は単純だ。出版社からたくさん仕事を依頼されて、超人的な生産力でそれに応じているだけなのである。この濫作がよくもわるくも内容をやわらかくしていて、百ページを負荷いらずに読みとおすスピードをうみだす一方で、読後に残るものもまた少ない。高速道路で旅すれば、道中の景色が損なわれるのと同じである。

どうしてこの本を買ったか、その動機だけを説明しようとおもって書き始めたのに、話が別のところに飛んでしまった。私がこの本を買ったのは、近ごろの梅雨空のせいか、ずっと気分が晴れずにいるので、世の中の人がどうやって精神的な健康を保っているのか知りたいと思ったからだ。白地に「前向き力」とでかでか記された文庫カバーを見るだけで、なんだか考え方を前向きにされる思いがする。

 

2.

論語・韓非子で学ぶ入試漢文 (学研合格新書)

論語・韓非子で学ぶ入試漢文 (学研合格新書)

 

吾輩は猫である』をたまたま読み返した。読み返した一節に、韓非子の話題があった。名前は聞いたことある。でも、どんな人で、何を言ったんだっけ?と気になる。韓非子なんかをとりあげた本で専門的じゃないものを探すのは難しいだろう、と覚悟して古本屋に入ったが、学習参考書のコーナーにちょうど良いのを見つけた。古文漢文で学年最下位をマークして以来、古典と聞けば全身にじんましんが出るようになった私にとって、漢文のルールを一から説明してあるという点が大変ありがたい。

 

3.

万葉秀歌〈下巻〉 (岩波新書)

万葉秀歌〈下巻〉 (岩波新書)

 

これも古典アレルギーを克服しようという企て。漢文を読むのだから古文もあわせて読みたくなった。ボクサーの竹原慎二は、じぶんはまだ上巻を買うような人間ではないと思って、上下分冊の小説を下巻から買い求めたという。それにくらべて私は下巻しか置いてなかったという理由だから、まだまだ彼には及ばない。先に書いた通り、古典の素養がまるでないため、歌人斎藤茂吉の解説あっても、和歌の意味を掴みそこねる。分からないでも、声にだして読めば、古人の語感の鋭さに気付いてびっくりする。ことばの営みというのは、古代から連綿とつづく表記と意味の歴史に入っていくということだから、先人の仕事ぶりを確認することには必ず意義がある。学生時代は愚かにもこの極意が分からなかった。

 

4.

輝ける闇 (新潮文庫)

輝ける闇 (新潮文庫)

 

茂木健一郎『頭は「本の読み方」で磨かれる』に紹介されていて、開高健という作家に興味をもつ。自身の戦争体験をもとにして大岡昇平が書いた『野火』を先週読んでから、戦争文学のおもしろさに目覚めた。この作品は、ベトナム戦争の取材をもとに書かれたルポルタージュである。買った日の帰り、スタバへ寄って半分ほど読んだ。死がそばにせまる戦場で「日常」を生きる兵士と現地民。彼らの生活、出逢い、衝突のありさまが細かに描かれる。饒舌でも嫌味にならないスカッとした文体は好みだ。ほかの小説やエッセイをどんどん集めたい。

 

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