おならっぷばーん

真夜中の異臭さわぎ

読書って何だ?を考えるすべての読者人にオススメしたい本

今までに私が読んだ本にまつわる本の中で、とくに感銘を受けたものを紹介します。

「一人前の年齢に達したら、ただ本に追随することを恥じる必要がある」

『思考の整理学』でおなじみの外山滋比古先生による『乱読のセレンディピティ――思いがけないことを発見するための読書術』です。 

乱読のセレンディピティ

乱読のセレンディピティ

 

 この本は、わたしたちが無批判に受け入れがちな「読書=良いこと」という図式をつき崩します。

真面目な人は正直だから、読めば読むほど優秀な人間になれると勘違いする。実際、博学多識にはなることができる。それと裏腹に、頭の中が空虚になるということを教えてくれるものはない。p.50‐51

外山先生に言わせれば、本を読んで得る知識とは「借金」です。しょせんは他人の考えたことにすぎません。大事なのはその借り物に利息分、つまり自分が稼いできたあたらしい知見をプラスすることです。ただひたすら頭の中に知識を詰め込むのに時間を費やしても、じぶんの頭で考える余地を残さなければ、それは無駄になると言いたいわけです。作家の井上ひさしは次のように言います。

わたしたちは道元親鸞よりははるかにたくさんの本を読んでいるはずだが、彼等より考えが深いとはとても言えぬ。読書量の多寡は人間の質とはあまり関係がないのである。p.12-13,『本の枕草子』(文春文庫)

いままで徹底して読み・書き能力が評価されるような教育を受けてきた私にとって、「読書行為をむやみに信頼するな」という警告は、とても刺激的でした。もちろんこの言葉を鵜呑みにして、なにも読まないのではもっと愚かです。ただもう少し本との付き合い方に慎重になってみろ、というのは、読書の姿勢づくりの上でたいへん有益なアドバイスだと思います。余談ですが、外山先生はこの本を91歳で執筆されています。年齢からはとても信じられない知的創造力です。その秘訣はおそらく、ここで挙げた生活態度と無関係ではないでしょう。