『"仕事をする"という本』序文

預金残高が1万円を切った。モニタの数字が5ケタから4ケタに成る瞬間、10年育てた愛猫が家を出てどこかへ行ってしまったような悲しみと、ある日、帰るべきふるさとが海の向こうの大国に併合されて祖国を失う寂しさに抱きすくめられた。防犯用の凸面鏡を覗くと…

私の本の買い方

1 店に入る。 店といっても本屋である必要はない。店である必要もない。入り口のある建物ならなんでもよい。しかし考えてもみたまえ、入り口のない建物があるだろうかと。私たちは原理的に、すべての建物に入ることができるのだ。それと同じこと。現代人の…

危険な日記【無修正】

(まだ売ってんのかな?) クリスマスイブの朝、バイト前にマックで泥水みたいなコーヒー片手に苦楽をともにした思い出があるので、中身はとっくに用済みでも捨てるに捨てられない。「アラ、いらないのに手放さずにいるなんて愚の骨頂、沼の底なし、知恵の不…

サンタさん来た!

わーい。プレゼントが届きました。 さすが! 僕の欲しいものがわかってますね。まるで自分で注文したかのような。 むかし、サンタさんにお願いしたゲーム機をクリスマスの1週間前にクローゼットの奥で発見したときは、サンタさんの仕事の早さにおどろいたも…

マイ・ボーイズラブ

水と油は洗剤の一滴、少女と中年オヤジは紙幣の二枚で交わる。決して出会わぬはずの僕とボランティアは、打算と見栄で一緒になった。ブランド品欲しさに身体を売る女子高生と、学位欲しさに単位を稼ぐ大学院生に差があるとすれば、にぎるペンの太さと、先か…

傾き蔵書

ブックオフで買った本に蔵書印をみる。たとえば、こんな感じ。 店で「これは!」と手にした本に、ことごとく「木内蔵書」のしるしがあって、木内さんとの読書趣味の一致ぶりに運命すら感じた。ぜひ木内さんの本棚を覗いてみたい。とはいえ蔵書印を持つほどの…

タイトルが思いつきません

止まったままの物体は止まり続け、動く物体は動き続けるという慣性の法則は、人間の精神的な活動にも同じように当てはまるようである。 ピカソは生涯に6万点以上の作品を残し、中年になっても10代の少女と交際した。「私たちがピカソから学びたいのは、精力…

キンドルやめるの忘れてた!

KindleUnlimited登録解除し忘れて、ちゃっかり1ヵ月ぶんの課金である。電子書籍を読むスキルも習慣もないくせに、タダだと聞いてお試しキャンペーンに飛びついたばっかりにムダ金をはたくことになる。ここで文句を言っても仕方ないので、僕が入会後たった一…

材料を見つけることも才能のうち

さいきん読み進めている『日本近代随筆選』(岩波文庫)のなかに、井伏鱒二が文体を語る一篇があって、これがグッとくる。 「自分の希望するのは、文体の浄化というよりも、書きたい材料に巡りあわすことである。……ゴーゴリやセルバンテスなどの書いたような材…

ハブ本

クモの巣のようにほかの本へ線を伸ばす本、おもしろい本へとつながる本を「ハブ本」と呼びたい。が、検索するとすでにあやしい書評ブロガーやビジネス本ライターによって使われていたのでもうやめたい。耳触りの新鮮なことばを作って、なにか新しいことを言…

アルコール!! スピードスピードスピード!! ラッシュ!! アルコール!! スピーードドドドドドド!!!!!!

伊達メガネも、あごに手をやる動作も、あえて難しいタイトルの本を持ち歩くのも、知的に思われたいという気持ちの現れです。べつに悪いことではありません。人間は愚かであるより、賢くあろうとするほうが自然です。しかし、その賢さをIQ・偏差値・出身校と…

『映画秘宝8月号』の私的ハイライト

(ハーレイ様に痛めつけられたい) 『映画秘宝』8月号の個人的ハイライトは、大槻ケンヂの連載「パイパニック対談」です。今月の対談相手は、元ボクサー赤井英和の娘でモデルの赤井沙希さん。7月公開の映画『大怪獣モノ』のプロモーションでやってきたようで…

ぼぼぼくはハダカが好きなんだな

ブックオフで『裸の大将放浪記』全4巻を発見して即ゲット。 なんでこんなものに飛びついたのかと言えば、井上ひさしの『自家製文章読本』でこの本が引用されていて、その内容が強烈だったので、脳のしわに「山下画伯の書いたスゲエ日記がある」と刻み込まれ…

カバンの中身はなんだろな

タレント・モデル・お笑い芸人のカバンの中身を紹介する雑誌記事があった。 AV男優のしみけんは、コンドームはもちろんのこと、たんぱく源となる鶏肉の真空パックを持ち歩く。それより気になるのは彼の略歴にある「経験人数8000人以上」という数字だ。世間に…

ブックオフで洋書を買ってきた

ブックオフの洋書コーナーで、クエンティン・タランティーノの映画『ジャッキー・ブラウン』の原作小説を見つけた。しかも108円である。 買い取っても、うまく捌けないからか、Amazon中古よりも安値がつく。洋書を売る人間がそもそも少ないため、ラインナッ…

酒を飲んだときに読む本

吉行淳之介編集の『酔っぱらい読本』というアンソロジーを買ってきた。 この本は、酒にまつわるエッセイ、詩、さらには古典落語にいたるまで、古今東西のあらゆる酒呑みたちの文章を集めたものである。佐々木侃司(ささきかんじ)というイラストレーターの挿…

本名は中川雅也

ブックオフの海外文学コーナーで、 外国人作家に混じってリリー・フランキーの『東京タワー』が陳列されていた。 たしかに名前だけみれば外国人だと思うのも無理ないが、さすがに副題の「オトン」「オカン」という表現には違和感があるのでは…。 文庫の整理…

本を読むな、活字離れせよ

寺山修司『幸福論』の一文である。 書物はあくまで、「時」という名の書斎と、「教養」という名の椅子、それに少しばかりの金銭的余裕をもちあわせている人生嫌いの人たちに、代理の人生の味わいを教えてくれるだけである。 本好きをチクリと刺す、イヤなこ…

亡き祖父から艶本を受け継いでみる

先週、祖父が亡くなりまして遺品整理ということで古い本をいくつか頂きました。 そのなかの1冊が、これ。 「閨中 なんとか蛸壺」の前篇です。 開くと、鮮やかな扉絵が迎えてくれます。 「閨中風俗門選」シリーズのようです。読めませんが、絵と文の担当者ら…

詩・私・死

ひとは鼻水がいったいどこから湧き出るのかを想うとき、8次元宇宙の存在を確信する。ぼくはその日、霊感に導かれて体温計のモニタに「37.5」の数字を見た。 週1で参加するボランティアを今日は休もうと考えたが、現場で知り合った女性(以降V子)と本を交換…

モテたい!モテたい!モテたい!

能町みね子の『くすぶれ!モテない系』(文春文庫)を読んだ。最近この手の「モテ」に関する本、しかも女性側から考えるモテ論を読むようになった。 街を歩けば、男の非モテに関してはたちどころに理解できる。非モテの男は、顔や眼つき、ファッション、身の…

GWとMJ

ブックオフがGW特別セール中で本が20%オフだったので、いろいろ買った。 平常時は、気になった本を片っ端からカゴに入れるMJ(マイケル・ジャクソン)方式で買い物するのだが、安い時にかぎって慎重に品定めしている矛盾に気づく。 こういうときこそ、普段なら…

デートをドタキャンされた男の叫び

つっこみと言えば、もっと心の底から「なんでやねん」と叫びたい、いやむしろむせび泣きたい事態が起こったのでした。のん気におもしろ画像を掲載している場合ではなかったのです。 前に、ボランティアで出会った女性と美術館デートの約束をしたと報告しまし…

再燃する三島由紀夫ブーム

『午後の曳航』という、船乗りと少年のおぞましい話を読んでから、三島由紀夫の才能にひれ伏し、古本屋にあるだけ買いあさる。 三島由紀夫の小説は、文学青年をきどる人間の必読書みたいな位置づけで、いちおう手は出してみるが、世間のミシマファンみたいに…

質より量も癖だのみ

最近とくに更新の目標もないので、とりあえず「1000字」のゴールにむけて書くことにしてます。 ありきたりな「質より量」の法則を持ち出して、言い訳するつもりはありません。面倒なのは、毎日なんか書くクセがないこと、ビジネスライクに言い換えれば「習慣…

ブックオフ・スカベンジャーズ結成

花の盛りもいつしか過ぎて、行く春を惜しむ季節となりました。皆さんお変わりございませんか。 いよいよ夏の背中が見えてまいりましたね。しかし、この陽気のうらには、どこかじめじめした陰気な熱が潜んでおります。新生活を華々しくスタートさせた人間の足…

ことわざ辞典で墓荒らし

ことわざ辞典を買ってきた。 「スピーチ/文章を豊かにする!」イヤですね、自分のはなしに故事成語・ことわざ・偉人の名言を引いて、それっぽく聞かせようとする人は。かつての校長先生の演説を思い出します。 中身。風紀委員みたいな大人しい外見ですが、 …

つくったものをさらす勇気

今まで散々、自己啓発書をバカにしたようなスタンスをとってきたが、何を隠そうぼく自身がもっともその類の本に頼って生きているのだから困ったものである。 人の言行は一致せず、むしろ正反対なことが多い。アメリカのゲイ反対運動の首謀者がじつはゲイだ…

読まない読書ライフ

「本とは、なんというか、紙である」(かたむきみちお・自称フリーモデル) ――そう、今宵は本のはなし。語り手は、稀代のブックマイスター・かたむきみちお。「中身を読まなくとも、本棚に飾るだけで読んだことになる」という独自の「読ん棚」理論を用いて…

母ちゃん、おれ勝つからよ

最近めっきり読書関連の投稿が減り、もともとこのブログが読書ブログらしいものを目指して発足されたのがウソのようである。というのも、みなさまの前で胸を張って読書人を気取れるような本を読んでいないからです。 たとえば、お笑いトリオ「インスタントジ…